ワインの味を決めるブドウ!品種と産地の特徴について

緑のブドウの画像の背景に、タイトルの文字

ワイン愛好家にとって、ブドウ品種は奥深い探求の旅です。一口にワインといっても、その味わいは千差万別。その多様性の根源にあるのが、さまざまなブドウ品種の存在です。本記事では、ワイン用ブドウ品種の産地やその特徴についてお届けします。

ワイン用ブドウ品種の一覧

ワインに使用されるブドウ品種は数千種類存在しますが、ここでは代表的な品種を白ワイン用と赤ワイン用に分類し、それぞれの特徴を紹介します。

白ワイン用ブドウ品種

シャルドネ

ブドウ畑になるシャルドネの画像

世界で最も栽培されている白ワイン用ブドウ品種。ブルゴーニュ地方マコネ地区が発祥。癖のない味わいで、どのようなワインにも変化するブドウといえます。

柑橘類、リンゴ、パイナップルなどの果実香と、樽熟成によるバニラやナッツの香りが特徴。

ソーヴィニヨン・ブラン

フランス・ボルドー地方を原産とし、世界各国で栽培されている品種で、爽やかな酸味と柑橘類、ハーブの香りが特徴。

ニュージーランドやフランスのロワール地方、ボルドー地方などが有名で、フランスではセミヨンとブレンドされることが多いようです。

リースリング

木になるリースリングのブドウ。緑の実。

華やかな香りと豊かな甘味、しっかりとした酸味のバランスが特徴。ドイツやアルザス地方で有名。

ソーヴィニヨン・グリ

ソーヴィニョン・ブランが突然変異して生まれた品種といわれており、グレープフルーツやレモンの柑橘類、ハーブの香りが感じられます。

基本的にはブレンドで使われることが多いブドウで、白ワインに複雑な味わいを加えます。

ヴィオニエ

小さくて皮の薄い粒と、小さめの房のブドウで、桃、アプリコット、白い花の香りを感じられます。

コクのある果実味がある厚みのある味わいで、フルボディのワインを生み出せる品種。単体でもブレンド用としても使用されています。

赤ワイン用ブドウ品種

カベルネ・ソーヴィニヨン

カベルネ・ソーヴィニヨンが木になっているところ。青い実がなっていて、葉っぱがところどころ枯れかかっている。

カベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランの自然交配から生まれたとされており、世界各国で栽培されている、赤ワイン用ブドウでは代表品種といえるでしょう。

力強いタンニンとカシス、ブラックベリーなどの黒い果実香。ボルドー地方で有名。

メルロー

 柔らかなタンニンとプラム、ブラックチェリーなどの赤い果実香。カベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされることが多い。

ピノ・ノワール

ピノノワールの黒い実がついたブドウが木になっているところ。

 繊細なタンニンとイチゴ、ラズベリーなどの赤い果実香。ブルゴーニュ地方で有名。

シラーズ/シラー

フランス・ローヌ地方発祥とされ、スパイシーな香り、ブラックペッパー、ブラックベリー、チョコレートなどの香りが特徴。

オーストラリアでは、フランスから伝わってシラーズと呼ばれ、多くのワインが生産されるようになりました。

サンジョヴェーゼ

イタリア・トスカーナ原産のブドウで、イタリアで最も栽培されている赤ワイン用ブドウ品種。チェリー、プラム、リコリスなどの香り。

世界的ワイン産地

ワイン用ブドウは世界中で栽培されていますが、主要な産地は以下です。

ヨーロッパでは、 フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、ポルトガルなど。新世界だと、アメリカ、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどが挙げられます。

大陸別のワイン用ブドウ品種

ヨーロッパではシャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの品種が主流。一方、新世界ではシラーズ、メルロー、シャルドネなどが多く栽培されています。

異なる気候条件下で使用されるブドウ品種

温暖な地域では、カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーズなどの厚皮のブドウが栽培されますが、冷涼な地域では、ピノ・ノワールやシャルドネなどの薄皮のブドウが栽培されます。

ブドウ品種によるワインの風味の違い

ブドウ品種によって、ワインの色、香り、味わいなどが大きく異なります。

白ワインは皮を取り除いて果汁を醸造するため、白から黄色になります。一方、赤ワインは皮ごと醸造するため、赤から紫色になります。

香り

ブドウ品種によって、柑橘類、果実、花、スパイスなどのさまざまな香りが生まれます。

味わい

ブドウ品種によって、甘口、辛口、酸味、タンニンなどの味わいが異なります。

アロマとフレーバーの特徴

ワイン用ブドウの香りと味わいの特徴

ブドウ品種によって、さまざまな香りと味わいを持つワインが生み出されます。

シャルドネ

柑橘類、リンゴ、パイナップルなどの果実香と、樽熟成によるバニラやナッツの香り。

ソーヴィニヨン・ブラン

爽やかな酸味と柑橘類、ハーブの香り。

リースリング

 華やかな香りと豊かな甘味、しっかりとした酸味のバランスが特徴。

ピノ・ノワール

繊細なタンニンとイチゴ、ラズベリーなどの赤い果実香。

カベルネ・ソーヴィニヨン

力強いタンニンとカシス、ブラックベリーなどの黒い果実香。

 ブドウ品種によるフルーツ系と華やかな香り

フルーツ系の香りで白ワインだと、柑橘系、リンゴ、モモ、アプリコット、メロンなど。

赤ワインでは、イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、ブラックベリーなどの香りがあります。

華やかな香りでは、白ワインには白い花、ジャスミン、スイカズラなど。赤ワインではバラ、スミレ、バイオレットなどの香りがあります。

 繊細でエレガントなワイン用ブドウ品種

ピノ・ノワール

ブルゴーニュ地方で有名な赤ワイン用ブドウ品種。繊細なタンニンと赤い果実香が特徴。

シャルドネ

世界で最も栽培されている白ワイン用ブドウ品種。柑橘類、リンゴ、パイナップルなどの果実香と、樽熟成によるバニラやナッツの香り。

リースリング

華やかな香りと豊かな甘味、しっかりとした酸味のバランスが特徴。ドイツやアルザス地方で有名。

地域別のワイン用ブドウ品種

フランスで栽培されるブドウ品種

シャルドネ

白ワイン用ブドウ品種。ブルゴーニュ地方やシャンパーニュ地方で有名。

ピノ・ノワール

 赤ワイン用ブドウ品種。ブルゴーニュ地方で有名。

 カベルネ・ソーヴィニョン

赤ワイン用ブドウ品種。ボルドー地方で有名。

ソーヴィニヨン・ブラン

 白ワイン用ブドウ品種。ロワール地方で有名。

 イタリアで育てられるブドウ品種

サンジョヴェーゼ

赤ワイン用ブドウ品種。トスカーナ地方で有名。

ネッビオーロ

赤ワイン用ブドウ品種。ピエモンテ地方で有名。

バルベーラ

赤深く濃いルビー色で、おだやかなタンニンを感じる赤ワイン用ブドウ品種。ピエモンテ地方で有名。

グレラ

 イタリア、ヴェネト州で主につくられるスパークリングワインであるプロセッコに主に使用されているブドウ品種。

日本発祥のブドウ品種の特徴

甲州

日本固有種のブドウ「甲州」が木になっているところ。白ワイン用の品種で、川はピンクがかった薄紫色。

白ワイン用ブドウ品種。山梨県で栽培。柑橘類や白い花の香り。

マスカット・ベーリーA

マスカット・ベーリーAのブドウが木になっているところ。

赤ワイン用ブドウ品種。日本各地で栽培。ベリー系の香り。

ワイン用ブドウ品種の辛口の特徴

辛口ワインに使われるブドウ品種

次のような品種は糖度が低い状態で収穫されるため、辛口ワインに適しています。

シャルドネ

白ワイン用ブドウ品種。柑橘類、リンゴ、パイナップルなどの果実香と、樽熟成によるバニラやナッツの香り。

ソーヴィニヨン・ブラン

白ワイン用ブドウ品種。爽やかな酸味と柑橘類、ハーブの香り。

リースリング

華やかな香りと豊かな甘味、しっかりとした酸味のバランスが特徴。ドイツやアルザス地方で有名。

ピノ・ノワール

 繊細なタンニンとイチゴ、ラズベリーなどの赤い果実香。

カベルネ・ソーヴィニヨン

力強いタンニンとカシス、ブラックベリーなどの黒い果実香。

辛口ワインの特徴的な味わい

辛口ワインは、糖分の残量が少なく、酸味やタンニンが前面に出た味わいが特徴です。

白ワインでは 柑橘類、リンゴ、ハーブなどの爽やかな香り。赤ワインだと レッドチェリー、ブラックベリー、プラムなどの赤い果実香があります。

辛口ワイン用ブドウ品種の特定の果実のニュアンス

シャルドネ

リンゴ、レモン、グレープフルーツ、パイナップル、メロン、桃、アプリコット。

ソーヴィニヨン・ブラン

グレープフルーツ、レモン、ライム、草木、ハーブ、パッションフルーツ。

リースリング

リンゴ、レモン、ライム、アプリコット、ピーチ、ハチミツ、石油。

ピノ・ノワール

イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、スミレ、バラ、リコリス。

カベルネ・ソーヴィニヨン: ブラックチェリー、ブラックベリー、プラム、カシス、タバコ、革、杉。

 特別なワイン用ブドウ品種

 ブレンド用として使われるブドウ品種

メルロー

メルローの黒ブドウがたくさん木になっているところ。

カベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされることが多い。柔らかなタンニンとプラム、ブラックチェリーなどの赤い果実香。

世界中で栽培されていますが、塩尻市桔梗ヶ原地区にあるシャトー・メルシャンは、1976年にメルローの植栽を開始し、1985年に初のヴィンテージをリリースしています。

「桔梗ヶ原メルロー」は日本を代表する赤ワインとして高い評価を受けており、近年では、国際的なワインコンクールでのメダル獲得や、ブラインド・テイスティングにおいて高得点を獲得するなど、顕著な成果を上げています。

カベルネ・フラン

スペインのバスク地方にルーツを持つとされ、カベルネ・ソーヴィニョンに似た味わいながら、それよりも軽やかだとされています。

古いぶどうで、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、カルメネールなど、ボルドー品種たちの親であり、そういったブドウのワインとブレンドする時には欠かせない品種です。

プティ・ヴェルド

プティ・ヴェルドのブドウ

プティ・ヴェルドの原産国は、フランス南西部のボルドー地方で、古くからブレンド用の品種として用いられていました。

メルローやカベルネ・ソーヴィニヨンに深みと複雑さを加えます。収穫量が少なく、ブレンド用に使われることが多い品種ですが、スペインやアメリカ、日本などではプティ・ヴェルドのみでつくられたワインもあり、人気を集めています。

ロゼワインによく使われるブドウ品種

サンジョヴェーゼ

イタリアを代表する黒ブドウ品種の一つで、キャンティ・クラシコなどの赤ワインの使用品種として有名ですが、ロゼワインの原料としてもよく使われています。

グルナッシュ

グルナッシュのブドウが木になっているところ。

スペイン北部・アラゴン州由来の赤ワイン用ブドウ品種。

フランスの南部・ラングドック=ルーション地方で造られる赤ワイン用の品種としても知られ、プロヴァンス地方などでは、ロゼワインの品種としても重宝されています。

シラー

シラーは赤ワインに使われる黒ブドウ品種の1つであり、独特な黒コショウのような香りを持つとされる品種で、ロゼワインにしてもスパイシーな香りと味わいが加わったものになります。

スパークリングワインに適したブドウ品種

シャルドネ

 シャンパンの主要品種。繊細な酸味と複雑な味わい。

ピノ・ノワール

シャンパンの主要品種。イチゴ、ラズベリーなどの赤い果実香。

ピノ・ムニエ

フランス・シャンパーニュ地方で主に栽培されている、シャンパンに使われる黒ブドウ。柔らかな果実味で、リンゴ、レモンなどの柑橘類の香りが感じられます。

 価格帯別ワイン用ブドウ

ブドウ品種による高品質ワイン

次のようなブドウの品種は栽培に手間がかかり、収穫量も少ないため、高品質なワインとして知られています。

シャルドネ

ブルゴーニュの白ワイン。繊細な酸味と複雑な味わい。

ピノ・ノワール

ブルゴーニュの赤ワイン。エレガントなタンニンと赤い果実香

カベルネ・ソーヴィニョン

ボルドーの赤ワイン。力強いタンニンと黒い果実香。

手頃な価格帯でも味わえるブドウ品種

シャルドネ

世界各地で栽培されているため、手頃な価格帯のものも多く存在します。

メルロー

柔らかなタンニンと飲みやすい味わいで、デイリーワインに最適。

サンジョヴェーゼ

イタリアで多く栽培されており、手頃な価格で楽しめる赤ワインが豊富。

限定品の高級ワイン

ロマネ・コンティ

ロマネコンティの畑が広がっている。

ブルゴーニュの特級畑の中でも最高峰。ピノ・ノワール100%でつくられた、入手困難なプレミアムワインとして有名。

ロマネ・コンティの畑の歴史は12世紀まで遡り、当時は修道士によって所有されていました。その後、フランス革命を経て、1819年にDRC社が設立されました。

DRC社はロマネ・コンティ畑以外にも、ラ・ターシュ、リシュブール、モンラッシェなどの特級畑を所有しており、ブルゴーニュ屈指の名門ドメーヌとして知られています。

シャトー・マルゴー

シャトーマルゴーの外観

シャトー・マルゴーは、ボルドーの五大シャトーのうちの一つ。

カベルネ・ソーヴィニヨン種を主体に、メルロー種、カベルネ・フラン種、プティ・ヴェルド種をブレンドして作られる赤ワインです。

若い頃は、力強いタンニンと豊富な果実味を持つフルボディのワインですが、熟成とともに複雑な香りと味わいが発展していきます。力強く複雑な味わいで、高値で取引されています。

栽培困難なワイン用ブドウ品種

厳しい気候条件下で栽培されるブドウ品種

ピノ・ノワール

 栽培に適した地域が限られており、気候の影響を受けやすい品種です。

リースリング

ドイツのラインガウ地方発祥とされるブドウで、良質なワインをつくるには冷涼な気温で栽培することが必要。

ネッビオーロ

最上級のワインとして名高い、バローロの品種として知られるネッビオーロは、皮が薄く、病気にかかりやすいことが特徴で、栽培が難しいとされています。

霧が多く、降水量が多い地域で栽培される品種。

栽培技術が要求される高品質ブドウ品種

シャルドネ

栽培地域や気候によってさまざまな味わいを生み出します。

ピノ・ノワール

繊細な品種で、栽培に高い技術が必要。

サンジョヴェーゼ

 病害虫に弱いため、丁寧な栽培管理が必要。

独特な価値と自然派ワイン用のブドウ品種

次の品種は独特な味わいを持つため、好みが分かれそうです。

ピノ・グリ

フランス・ボルドー地方原産で、ピノ・ノワールの突然変異として生まれた品種。酸味が穏やかでコクがあり、芳醇な香りと甘味を持ちます。

ゲヴュルツトラミネール

北イタリアが原産でありながら、フランスやドイツのワインが有名。華やかな香りと豊かな甘味で、近年世界中で人気が高まっているといわれています。

ソーヴィニヨン・グリ

グレープフルーツやレモンの柑橘類、ハーブの香り。白ワインに複雑な味わいを加えます。

ワイン用ブドウ品種と人気の組み合わせ

これらの組み合わせは、それぞれの品種の特徴がうまく調和し、バランスのよい味わいに仕上がります。

シャルドネ × ソーヴィニヨン・ブラン

白ワインの定番。柑橘類、リンゴ、ハーブの香り。

カベルネ・ソーヴィニヨン × メルロー

赤ワインの定番。力強いタンニンと黒い果実香。

ピノ・ノワール × シャルドネ

スパークリングワインの定番。繊細な酸味と赤い果実香。

まとめ

ワイン用ブドウ品種は、世界中で数千種類存在します。それぞれの品種が独特な香り、味わい、特徴を持ち、さまざまなワインを生み出します。

ワインを選ぶ際には、品種の特徴を理解し、自分の好みや料理に合ったものを選ぶことが重要です。

伝統的な品種のブドウから、新種のものまでたくさんありますので、いろいろなワインを試してみると楽しそうですね。

緑のブドウの画像の右手に、ピンク地に文字で、 日本ワインのブドウの品種はどんなブドウ!?

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Laki
日本の国産ワインと中伊豆ワイナリーを心から愛するワインライター。ワインに関する知識はもちろん、その背景にあるストーリーや文化も大切に、初心者から愛好者まで、誰もが楽しめる情報をお届けします。すべてのワインに愛を込めて。特にお気に入りの伊豆ワインは、伊豆ヤマ・ソービニオンと海底熟成ワインらぶ・ま〜れです。