鉄道とグランピングの魅力が融合!特急「踊り子」号で楽しむ新しい形のアウトドア旅行

アウトドアは車がなくても大丈夫!特急「踊り子」号で行くグランピング

アウトドアと聞くと車で行くのが当たり前と思われる方も多いのではないでしょうか。
では、車がないとアウトドアは楽しめないのか・・・?
いえいえ、そんなことはありません!

アウトドア体験を豪華で快適な施設で楽しむ新しい形のキャンプスタイル「グランピング」なら、テントなどの大きなキャンプ道具を持っていく必要がなく、車がなくても気軽に電車で行くことができます。

特に伊豆エリアは東京から2〜3時間で行くことができ、海はもちろん富士山を眺望できるロケーションを有していることから多くのグランピング施設があります。

今回はそんな伊豆エリアの中から、鉄道好きの筆者が実際に行ってみた中伊豆EAST WINDS VILLAGEへのアクセス方法を、新幹線は使わずにあえて特急列車で行くという独自の目線でご紹介したいと思います。

中伊豆EAST WINDS VILLAGEの屋上テラス

東京から直通電車で行ける中伊豆EAST WINDS VILLAGE

ワイナリーに隣接した山あいの大自然の中にあるグランピング施設「中伊豆EAST WINDS VILLAGE」は、最寄りの修善寺駅から無料シャトルバスで約20分(タクシーで約15分)という好立地にあります。
東京から行く場合、新幹線で三島まで向かい伊豆箱根鉄道に乗り換えて修善寺駅まで行くという方法が一番早いのですが、鉄道の旅を楽しみたい筆者はあえて直通の特急列車「踊り子」号で行くことにしました。

東京から修善寺に行くなら乗り換えなしの特急「踊り子」号がおすすめ!

東京駅から修善寺駅へ乗り換えなしで行くためには、1日平日は2本、土日祝日は3本、特急「踊り子」号が運行しています。
乗車時間は2時間強で、遠すぎず近すぎずの絶妙な距離感が旅情を味わったり駅弁を食べたりするにはちょうど良く、リクライニングシートで寛ぎながら車窓からの絶景をじっくり眺める時間は、まさに旅の楽しみそのものです。

踊り子3号踊り子9号踊り子13号
東京 9:0010:3012:00
修善寺 11:0812:3914:06
※ 踊り子9号は土日祝日のみ運行

踊り子号のメインの行き先は伊豆急下田のため修善寺へ向かう踊り子号は本数が限られています。(伊豆急下田行きは上記より多く運航しています)
さらに、修善寺行きは単独では運行しておらず伊豆急下田行きと連結されているため、分岐点である途中の熱海駅において伊豆急下田行きと修善寺行きに車両が切り離されます。

この切り離しこそ、筆者が踊り子号で行くことを選んだ理由の一つでもあり、鉄道好きにはたまらないイベントなのです!

熱海駅の東海道線ホーム

切り離された修善寺行きの列車は、函南・三島と東海道本線を引き続き走行し、三島からはJR線の線路を離れ伊豆箱根鉄道の駿豆線に乗り入れします。

鉄道好きにはたまらない!踊り子号の名物「熱海駅での切り離し」

東京駅から踊り子号に乗ること1時間20分、伊豆半島の入口であり温泉地で賑わいを見せる熱海駅に到着です。
ほとんどの踊り子号はこのまま伊豆急下田へ向かうため、熱海駅での停車時間は1〜2分ですが、下田行きと修善寺行きが連結されている列車は車両の切り離し作業があるため、3〜5分ほど停車します。

踊り子号の熱海駅での車両切り離し

もちろん筆者も一旦ホームに降りて車両の切り離し作業を見学しました!
周りには子どもたちや多くの大人の方も一緒になって見入っていたのが印象的でした。

車両同士の切り離しや連結は秋田新幹線や山形新幹線のほか、今となっては定期運行している唯一の夜行列車であるサンライズ出雲・瀬戸などでも見られますが、鉄道好きとしては絶対に見ておきたいイベントですからね!

車両の切り離しを見学する人々

熱海駅に到着して3分後、前より9両の下田行きが発車し、その2分後(熱海駅に到着して5分後)、後より5両の修善寺行きが発車します。

熱海駅ホームの電光掲示板

熱海から三島へ!JR線を離れた踊り子号は伊豆箱根鉄道の駿豆線へ

熱海駅で切り離し作業を終え、前よりの下田行きを見送った修善寺行きは、東京駅から続く東海道本線をもう少しだけ西に向かって走行し、三島駅に向かいます。

小田原から熱海までは左に海が見える絶景が続きますが、熱海を出ると全長約7kmにも及ぶ丹那トンネルに突入するため、先ほどまでの車窓とは打って変わって暗闇が続きます。
そんな長いトンネルを抜け、とてもローカルな函南駅を通過し、熱海駅を出て12〜13分で三島駅に到着します。

三島駅での踊り子号は東海道本線のホームにて発着しますが、出発してすぐに草が生い茂る連絡線を通り、伊豆箱根鉄道の駿豆線に入ります。

いよいよ修善寺到着!東京から乗り換えなしで2時間強の列車の旅

三島駅を出た踊り子号は、地元の主要な駅をいくつか停車しながら30分ほど走行し、終点の修善寺駅に到着します。

修善寺駅

駿豆線の線路は、ここ修善寺駅で終わります。
これ以上は線路が続かない「終着駅」ならではの雰囲気がまた旅情を掻き立ててくれますね。

修善寺駅の駅舎は2014年にリニューアルされ、中央に吹き抜けがあったり木がふんだんに使われていたり、とても明るく居心地が良い空間になっています。
コンビニや土産屋も併設されており利便性も抜群です。

修善寺駅構内

185系から始まった特急「踊り子」号の歴史

話は少しずれまずが、ここで踊り子号について少々深堀りしてみたいと思います。

鉄道ファンではない方でも特急「踊り子」号という名前は聞いたことがあると思います。
詳しい方でしたら、最近リニューアルされた(車両が置き換えされた)ことや自由席が廃止されたことなどもご存知でしょうが、一般的な方が持つ踊り子号のイメージといえば、こちらの185系ではないでしょうか。

185系の踊り子号

この185系の車両は、踊り子号の他にも湘南ライナーなど、様々な特急・急行列車や通勤・通学時の普通列車として、2021年(令和3年)まで約40年間、主に首都圏で大いに活躍しました。

1981年に誕生した新アイドル「踊り子」号

1981年(昭和56年)の10月1日、L特急「踊り子」号は誕生しました。
列車名「踊り子」の名称は、言わずと知れた川端康成の小説「伊豆の踊子」に由来し、一般公募で決定されたものです。

実は筆者の実家に当時の運転記念切符が未使用のまま残っていました!
熱海駅の普通入場券110円分の記念チケットですが、おそらく当時熱海に住んでいた祖父が入手したものだと思います。

踊り子号運転記念チケット
「L特急(エル特急)」とは、日中に多くの本数を運行する特急列車に付けられた愛称で、定義や意味は一応あるものの明確ではないので、ここでは深堀りしないでおきます。

時代を感じますね。
斬新な新型車両による踊り子号の運用開始が、当時としては大きな出来事だったことが窺い知れます。
参考までに、このチケットの裏面には以下のような記載がありましたのでご紹介します。

L特急「踊り子」号(新型車両・185系)は、昭和56年10月1日から、東京ー伊豆急下田/修善寺間に誕生します。
「踊り子」号は、従米になく新新でシャープな車体デザイン。
アクセント・カラーはアイボリー・ホワイトを基調に、伊豆の山並を思わせるグリーンのストライプです。
さらに抒情的な「踊り子」のヘッド・マーク…シャープさと暖かさがとけ合った美しい車体です。

伊豆の旅・新アイドル「踊り子」号、新新なデザインで登場

筆者にとっても踊り子号のイメージといえばこの185系で、そのデザインだけでなく、特徴的な唸るモーター音もまた、幼少期の思い出とともにはっきりと記憶に刻まれています。

世代交代!踊り子号は185系からE257系へ置き換え

2021年3月のダイヤ改正をもって踊り子号のメインキャラクターでもあった185系が引退すると「踊り子」号はE257系車両に統一されます。
こちらは新造された車両ではなく、中央線の特急「あずさ」などで使われていたE257系をリニューアルした車両です。

熱海駅に停車中の踊り子号

外観のカラーリングは、185系が「伊豆の山並を思わせるグリーン」だったのに対し、E257系は「伊豆の空の色と海の色をイメージしたペニンシュラブルー」が基調になっています。

内装もシートデザインの変更などをはじめ、バリアフリーの設備や窓側席には電源コンセントが加わるなど、ありがたい機能面がブラッシュアップされています。

いくら日常から離れてグランピングを楽しむ道中とはいえ、デジタルデバイスを持ち歩くことが当たり前となっている現代において、移動中に充電できるというのは非常に助かりますね。

リゾート特急列車も世代交代!「スーパービュー踊り子」から「サフィール踊り子」へ

185系が現役だった頃、2階建て車両が連結された「スーパービュー踊り子」号というリゾート特急列車も運行していました。
スーパービューと謳っているだけあって窓ガラスは大きく、また2階建てグリーン車や個室、サロン室、こども室など多くの設備があり、それはそれは豪華で特別な仕様でした。

そんな「スーパービュー踊り子」号も引退し、今は後継車両の「サフィール踊り子」号にバトンタッチされています。

サフィール踊り子号

こちらはE257系と違って、完全に新造された車両です。
サフィールは青い宝石「サファイヤ」を意味するフランス語で、車体の色は落ち着いた良いブルーです。

「サフィール踊り子」号の最大の魅力は、なんといっても全車両グリーン車で長時間座ったままでも快適に過ごせるという点です。

特に前寄り1号車はプレミアムグリーン車になっており、座席を窓側に回転できるので海沿いの絶景を思う存分満喫することができます。

もちろん普通のグリーン車でも十分に快適で贅沢です。
シートは全席リクライニングで足を伸ばせるのはもちろんのこと、車体側面や座席上部にも大きな窓があるため、車内はとても明るく旅の高揚感をさらに引き揚げてくれる演出になっています。

サフィール踊り子号の車内

残念なのが、先代の「スーパービュー踊り子」号も後継の「サフィール踊り子」号も、伊豆急下田にしか行かず、修善寺へは運行していないのです。

今回は中伊豆EAST WINDS VILLAGEでグランピングするためのアクセス方法として「踊り子」号をご紹介していますので、「サフィール踊り子」号に乗ってみたい場合は熱海での乗り換えをおすすめします。

サフィール踊り子号の運転席

ちなみに「サフィール踊り子」号のデザイナーは、フェラーリをデザインした日本人としても有名なKen Okuyamaこと奥山清行氏です。

修善寺駅からは無料シャトルバスが便利!中伊豆EAST WINDS VILLAGEへ

さて、筆者の鉄道愛が溢れてしまい「踊り子」号の話が長くなりましたが、話を中伊豆EAST WINDS VILLAGEへのアクセスに戻します。
東京駅から特急「踊り子」号に揺られること約2時間、修善寺駅に到着したら、無料シャトルバス乗り場へ向かいましょう。

改札口を出て左側の南口に、タクシープールやバスターミナルがあります。
実際に案内サインにもタクシーやバスのマークは南口にしか表示されていませんが、中伊豆EAST WINDS VILLAGEへの無料シャトルバスは反対側の北口に発着所が設けられているので、ここは注意が必要です。

修善寺駅改札口

修善寺駅に到着したら無料シャトルバス乗り場へ

修善寺駅の北口を出て右手側に、シャトルバスの乗り場があります。
下の写真の赤い丸部分がバス停の場所です。

修善寺駅周辺案内図

タクシーや路線バスの発着所は駅の反対側にあるため、こちらのロータリーにはほとんど一般車しか停まっておらず、シャトルバスの存在は目立つので迷うことはないでしょう。

中伊豆ワイナリーヒルズのシャトルバス

実際の踊り子号の時刻表にシャトルバスの時刻表を合わせてみると・・・

踊り子3号踊り子9号踊り子13号
東京 9:0010:3012:00
修善寺 11:0812:3914:06
修善寺駅北口 11:35×14:35
中伊豆ワイナリー 11:55×14:55
※ 踊り子9号は土日祝日のみ運行

ご覧の通り、土日祝日しか運行していない踊り子9号の場合、うまく接続できるシャトルバスが運行しておらず、結果的に次の踊り子13号で修善寺まで来ても変わらないことがわかります。
なので、踊り子号で中伊豆EAST WINDS VILLAGEへ向かう際は、毎日運行している踊り子3号か13号に乗る二択になります。

もちろん踊り子9号で修善寺に向かい、駅周辺でランチをするなどして2時間ほど過ごし、14:35のシャトルバスに乗るという行程もアリでしょう。
踊り子3号や踊り子13号の場合も、列車が修善寺駅に到着してからシャトルバスが発車するまで30分弱の猶予があるので、トイレに行ったりコンビニや土産屋に寄ったりする時間があるのも嬉しいですね。

修善寺駅から約20分!無料シャトルバスで中伊豆EAST WINDS VILLAGEへ

さぁ、シャトルバスの出発時間となりました。
このバスを使うのは、中伊豆EAST WINDS VILLAGEに向かう人の他、隣接する中伊豆ワイナリーヒルズやホテルワイナリーヒルに向かう人も乗ります。
実際にこのバスは、途中ホテルワイナリーヒルを経由して中伊豆ワイナリーヒルズに向かいます。

修善寺駅から中伊豆ワイナリーヒルズへの道中

修善寺駅を出発してしばらくは平坦な道を走行しますが、途中から山道をクネクネと上がっていきます。
ギアを落としたバスはエンジンを唸り続けながら右へ左へとカーブを進み、だんだん下界から隔離され、これから特別な場所へ行くんだという高揚感が湧いてきます。

15分ほど走ってホテルに寄り、さらに5分ほど乗り続けて、中伊豆ワイナリーヒルズならびに中伊豆EAST WINDS VILLAGEに到着しました。

中伊豆ワイナリーヒルズのエントランス

東京駅から修善寺駅まで約2時間、30分ほど待ち、シャトルバスで約20分、トータル約3時間のショートトリップのゴールです。
公共交通と施設の無料シャトルバスだけで、現実とは別世界のような場所に来ることができるのは、とてもありがたく魅力的ですね。

参考まで、修善寺駅からの無料シャトルバスの時間に合わせ、東京から踊り子号を使った場合と新幹線を使った場合のそれぞれのタイムテーブルを一覧にまとめました。

踊り子こだま踊り子こだまこだまこだまこだま
東京 9:009:2712:0012:2713:2714:2715:27
三島 10:1713:2014:1715:2016:17
三島 10:2713:2614:3315:4116:30
修善寺 11:0811:0614:0614:0115:1116:1717:04
修善寺駅北口 11:3514:3515:3516:3517:35
中伊豆ワイナリー 11:5514:5515:5516:5517:55

シャトルバスは上記の他にも、修善寺駅発9:35・10:35・18:00がありますが、中伊豆EAST WINDS VILLAGEのチェックインは15:00のため、あまり利用されることはないと思いここでは割愛させていただきます。

なお、修善寺の駅前には常にタクシーが常駐しているため、必ずしも便数の少ない無料シャトルバスの時間に旅程を合わせなくても大丈夫です。
(注:ワイナリーまでの路線バスは運航していません)

ゆったりランチもおすすめ!無料シャトルバス出発までの過ごし方

無料シャトルバスの出発時間まで余裕がある方は修善寺駅周辺を散策したり、ちょうど昼頃に到着してどこかでランチをしたりして時間を潰すのも良いですね。

ちなみに筆者は、お気に入りの町中華に行っては、決まって昔ながらの中華そばをいただきます。
この他にも蕎麦屋やイタリアンなど何店舗があるので、ちょっと寄り道して修善寺駅周辺を散策するのもオススメです。

町中華の醤油ラーメンとチャーハン

無料シャトルバスの出発時間は限られていますが、東京〜三島の新幹線や在来線、三島〜修善寺の駿豆線は選択肢がたくさんあるので、あえて修善寺駅周辺でのランチの時間を設けた旅程を立てるのも楽しみの1つです。

特急「踊り子」号で行く新しいアウトドアの形「グランピング」

アウトドアというと多くの方は車でのアクセスを想像されるかもしれませんが、実は東京から特急「踊り子」号を利用するだけで、心豊かなグランピング体験ができるのです。この記事では、鉄道好きの心をくすぐる、踊り子号を使ったグランピング旅の魅力をお伝えしました。

特急「踊り子」号は、東京と修善寺を直結する便利な列車として知られており、中でも熱海駅での切り離しや、JR線から伊豆箱根鉄道の駿豆線への移行など、鉄道ファンにはたまらない名物が盛りだくさん。東京から乗り換えなしで2時間強の旅を楽しみながら、目的地の修善寺に到着するのは、まさに鉄道旅の醍醐味を味わえる経路です。

「踊り子」号自体も、1981年の登場から数多くの変遷を経て、現在の姿へと進化を遂げてきました。初代の185系から現行のE257系、そしてリゾート特急「スーパービュー踊り子」から「サフィール踊り子」への世代交代など、車両の歴史を知るだけでも一つの旅と言えるでしょう。

そして、修善寺駅到着後もシャトルバスの出発を待つ間の修善寺でのゆったりとしたランチタイムも、この旅の一つの魅力となるでしょう。

グランピングは、自然を満喫しながらも快適な滞在が可能なアウトドアの新しいスタイル。
テントの設営や火起こしの手間を省き、自然との一体感を楽しむことができます。
特に中伊豆EAST WINDS VILLAGEは、その豊かな自然と絶景を楽しむことができる絶好のロケーションに位置しています。

  • 最寄の修善寺駅まで・・・特急「踊り子」号を使えば乗り換え不要
  • 最寄の修善寺駅から・・・シャトルバスを使えば無料
東京駅と中伊豆EAST WINDS VILLAGE

車を持たない都会の方でも、東京から特急「踊り子」号を利用することで手軽に体験できるグランピングは、鉄道の魅力とアウトドアの醍醐味を組み合わせた新しい旅の形となること間違いなしです。
ぜひ、次の休日は「踊り子」号でのグランピングを計画してみてはいかがでしょうか。

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