ワインラベルを正しく読んで、ワインの知識を深めよう①

たくさんのワインラベルが壁に貼られている

ワインラベルはその名の通りワインに貼ってあるラベルですが、そのワインが「どこで」「どのように」また「誰の手によって」「いつ」生まれたか、といったことが記された履歴書のようなものです。

今回は、そうしたワインラベルに書いてあることと、その読み方について解説していきます。

いつも飲んでいるワインも、ラベルの内容を理解すれば、その味わいも変わってくるのではないでしょうか。

ワインラベルの見方

ワインラベルはエチケットとも呼ばれ、日本語でも使うエチケットと語源は同じです。

ワインラベルは英語、エチケットはフランス語です。

かの昔フランスでは、宮廷でのマナーについて記されていた札のことをエチケットと呼び、外から来た人に見せていたそうで、ワインのエチケットもそこから来ているといわれています。

ラベルの内容に決まりはある?

ラベルに記載する内容は、国によって異なりますが、下記の内容が書かれているのが一般的です。

・ワイン名
・ブドウの収穫年(ヴィンテージ)
・原産地呼称名(A.O.C/A.O.P)
・ブドウ品種
・生産国
・地区名
・瓶詰め元
・容量
・アルコール度数

AOCとは?

Appellation d’OrigineContrôléeの略であるA.O.Cとは、原産地呼称名の意味で、フランスワインにおける品質のランクを指します。

フランスワインはその産地によって、使うブドウの品種などが細かく決められていることが多く、品質規格基準(産地、品種、収穫量、熟成法、試飲検査、など)に満たないと、A.O.Cのワインを名乗ることができません。

それがブランディングにもなっているため、使用されているブドウの品種などをわざわざ書かなくても、「それがどんなワインでどんな品質なのか」といったことが、購入する側にもわかるわけです。

EUの規定変更により、2009年から“A.O.P.(Appellation d’Origine Protégée)”と書かれているものもありますが、フランスでは以前のままA.O.C.表記のほうが主流です。

A.O.Cワインの場合のラベルの内容

ボルドーなどのA.O.C.ワインの場合は表ラベルもしくは裏ラベルに必ず記載しなければならない「義務表示」があり、以下の5項目になっています。

  • 原産国名
  • 原産地呼称名(A.O.C.名=Appellation d’Origine Contrôlée
  • 瓶詰め元名と住所(生産者と住所)
  • 容量
  • アルコール度数

原産国名

こちらの画像にはありませんが、ボルドーはフランスですので、表か裏のラベルに、
”produit en France” produit de la France”(フランス産)
の表示があるはずです。

原産地呼称名(A.O.C.名=Appellation d’Origine Contrôlée

画像の④原産地呼称名(A.O.C)を見ていただくと、グラン・クリュと書いてありますが、この名称は畑のグレードによって変わります。

グラン・クリュはごく一部の本当に限られた畑だけが名乗ることができ、次いでプルミエ・クリュとなり、それは1級に格付けされた畑のみが名乗ることを許されています。

ですので、この画像のワインは、サン・テミリオンの最高級の畑で採れたワイン、ということになります。

瓶詰め元名と住所(生産者と住所)

このラベルでは、⑤瓶詰め元として、”mis en bouteille au château”とありますので、ワインの製造から瓶詰めまで一貫してシャトーで行われたことがわかります。

またそのすぐ上には、
EARL Matthieu VERHEGHE propriétaire à Saint-Émilion
とありますので、「EARL Matthieu VERHEGHEさんがサンテミリオンに所有している畑」のワインということが示されています。

容量

こちらの画像には見当たりませんが、ボトルの容量についても記載義務があり、通常の750mlサイズのボトルであれば「750ml」もしくは「75cl」という表示があるでしょう。

アルコール度数

アルコール度数についてもこの画像では見付けられませんが、表ラベルか裏のラベルに必ず表示されています。

旧世界ワインの主な格付け

フランス

フランスには、国が定めた格付けのほかに、ワインの名産地であるボルドーやブルゴーニュではさらに細分化した格付けの名称を持っていますが、ここでは国が定めている格付けの名称をご紹介します。

A.O.C:Appellation d’Origine Contrôlée/
A.O.P.:Appellation d’Origine Protégée(原産地名称保護)
V.D.Q.S.:Vins Delimites de Qualite Superieure(上質指定ワイン)
※2011年まであった名称で、今ではなくなってしまいましたが、2011年以前のワインでこちらの名称がついているものも市場に出ているため、記載してあります。2011年当時だったワインはほぼすべて、A.O.C.に格上げになっています。
I.G.P:indication géograghique protégée(地理的表示保護)
Vin de Table(テーブルワイン)
※先ほどのグラン・クリュ、プルミエ・クリュというのは、ボルドーの格付けのうち、A.O.C.の中でさらに細分化されている格付けの名称です。

イタリア

ラベルの表示はほとんどフランスと一緒ですが、格付けの表記は異なります。

フランスのA.O.C.(A.O.P)に当たるのがD.O.G.C.で、以前のV.D.Q.SがD.O.C.、I.G.Pに当たるのがI.G.T.となっています。

D.O.C.G.:Denominazione di Origine Controllata e Garantita(統制保証付原産地呼称ワイン)
D.O.C.:Denominazione Origine Controllata(統制原産地呼称ワイン)
I.G.T.:Indicazione Geografica Tipica(地域特性表示ワイン)
V.d.T.:Vino da Tavola(テーブルワイン)

また、イタリアのワインラベルには、「Riserva」「Superiore」「Classico」「Novello」といった表記があることも。

  • 「Riserva」は、規定のアルコール度数や熟成期間を満たした高品質のワインを示し、イタリアやスペインのワインに使われます。
  • 「Superiore」は、規定のアルコール度数を超えたワインを指します。アルコール度数が1%でも上回る場合、この表記が使われます。
  • 「Classico」は、特定の地域で古くから生産されているワインにのみ使用されます。
  • 「Novello」は、イタリアの新酒である11月6日に解禁されるワインを指します。

スペイン

1970年にスペインで施行された「ぶどう畑、ワイン及びアルコールに関する法令」に基づいて設立された原産地呼称庁(I.N.D.O.)で、スペインワインの呼称の認定や管理が行われており、格付けは、D.O.C.、D.O.、V.d.l.T、V.d.M.の四つのカテゴリーに分類されています。

D.O.C.:Denominacion de Origen Calificada(特選原産地呼称ワイン)
※現在のところINDOによって認定されているのは、Rioja(リオハ)のみ。
D.O.:Denominacion de Origen(原産地呼称ワイン)
※I.N.D.O.が定めた地域で認可されたぶどう品種を原料として生産されているワインで、現在のところ指定されているのは38地域。
V.d.l.T.:Vino de la Tierra(地理的表示ワイン)
※イタリアワインでいうI.G.T.ですが、認定地域で生産されたぶどうを60%以上使ってつくられたもの。
D.d.M.:Vino de Mesa(テーブルワイン)

まとめ

フランスワインのラベルの読み方を中心に、旧世界ワインの格付けの名称についてもご紹介しました。

ラベルを見ても、「これはワインの名前だろう」「これは産地」「これは国名」くらいで、有名なものや値段、ラベルデザインでどれにするか決めている、といった方も少なくないのではないでしょうか。

次回ワインを購入する機会がありましたら、ぜひラベルの内容を読み解いて、気になったものを選んでみてはいかがでしょうか。

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